アディダス大中華区の業績が強敵ナイキに追いついて何をしたのか。

新総裁を発表し、大中華区の業績は喜ばしい。アディダスこの5年間の変革を通じて苦海を脱しつつある。特に中国の消費市場に対する深い理解は、アディの製品をより多くの中国人に受け入れている。

2016年はアディダスの重大な改革の年になるだろう。このスポーツ用品大手はこのほど、最近業績に圧力がかかっている現在のHerbert Hainer CEOの後任に、元ハンコCEOのKasper Rorsted氏を同社の新社長に任命することを正式に発表した。発表されると、ハンコの株価は4.5%下落し、アディの株価は5.8%急騰した。

北米市場の弱さと投資収益の危機により、アディは近年、業界のリーダーにナイキどんどん振り切っていく。現在、53歳の新CEOは、アディグループがこの不本意な日々を終えるのを助けると考えられている。Rorstedは豊富な管理経験を持ち、同時に視野が非常に優れており、株主たちはアディダスを重要な北米市場で活躍させ、会社を成長させることを望んでいる。

シェア、成長率など多くの重要指標を見ると、アディのパフォーマンスはナイキの下にある。しかし、彼らは重要な指標で自分を証明した。それは大中華区（香港・マカオ・台湾を含む）の市場シェアだ。Euromonitorのデータによると、2011-2015のこの4年間、アディの大中華区での年間販売成長率は8.5%から13.8%に上昇し、同期のナイキは11.2%から14.3%に増加した。

ナイキはいくつかの戦略的価値のある市場の中で覇者の地位にあり、アディが狙う対象でもあった。世界的に権威ある市場調査機関Euromonitorのデータによると、アディの米国スニーカー市場でのシェアは6%にすぎず、ナイキ側は68%の市場シェアを抑えている。その本土市場では、アディも優位に立っていない。統計によると、ドイツメーカーのアディの西欧市場での販売成長もナイキに後れを取っている。

しかし、ここ数年の高度成長を通じて、アディはナイキを追いかける道に力を蓄えてダッシュし、中国市場の争奪戦での追い上げを初歩的に実現した。

現在、中国のスポーツブランド市場は日本、ブラジル、ドイツを上回り、米国に次ぐ規模となっている。2015年9月現在、アディダスの大中華市場での売上高は前年同期比18.4%増加した。実は2008年の北京オリンピックの時、中国市場はナイキ、アディを含む多くのスポーツブランド略奪の対象。当時、アディダスの重金は北京五輪のスポンサー資格を獲得し、これで輝かしい業績を上げることができると思っていたが、予想外に在庫難に見舞われた。オリンピック期間中に盲目的に生産量を増やしたことに加え、当時の業界では供給過剰が普遍的に存在していたため、アディ製品の生産過剰が発生し、大量の在庫が消化できなかった。

打撃の後、アディは変革を求めていた。彼らは消費者にもっと近づき、市場を深く読み解き、最も人気のある製品を再び市場に注入し、製品を通じて会社の発展を駆動したいと考えている。

アディは女性市場で力を入れ、その中に秘められた巨大なビジネスチャンスを掘り起こすことを選んだ。北京、上海のような大都市のほか、中国の二線都市にも成都、瀋陽、重慶などの女子スポーツ製品専門店を開設している。女子専門店は市場の主流にはならないが、既存店システムの補完、スポーツブランドの多元化を図ることができる。イメージキャラクターの面では、アディの中国市場争奪への決意がさらにうかがえ、一線のスターである範氷氷、陳奕迅、鄧超が2016年のアディダス大中華区のイメージキャラクターとしてトレンドをリードするラインナップに加わった。

英市場調査会社Mintelの市場調査ディレクターMatthew Crabbe氏は、ビジネスニュースサイトQuartzのインタビューで、「アディダスは単なるスポーツウェアブランドの方向ではなく、小売モデルを細分化していく転換を求めている」と述べた。これに対し、アディダスグループ大中華区取締役社長の高嘉礼（Colin Currie）氏同様の見方を持っており、それによると、「中国人が必要とするのは運動時にも生活中にも着られるスポーツウェアであり、さらに一部の二線都市では、通勤や結婚式に参加する際にアディの服を着るのも普通だ」という。

一部の評論家は、現在の中国経済の大環境不況の下で、消費者の購買力も弱まり、いわゆるファッションに迎合してばかりいると損をするかもしれないと懸念している。それに、ファッションは変化が激しい。しかし、これまでアディのビジネス戦略は非常に効果的で、少なくとも大中華市場での成績表はかなり良い。